こども目線の優しい治療小児外科
成人領域で内科と外科があるように、小児領域でも内科と外科があります。小児外科はこどもの外科的診療を行う専門分野です。小児は、ただ体が小さいだけでなく、すべての臓器が未熟なため手術を行うには成人とは全く異なった専門的な知識、技術が必要です。
岡山大学小児外科は日本小児外科学会専門医、指導医を取得したスタッフの下、鼠径ヘルニアなど一般的な疾患から、小児がん、重心児、先天性気管狭窄症など他施設では治療困難な疾患の治療を提供しています。
また、新生児(出生前診断の場合は胎児)疾患は周産母子医療センターにおいて母体の周産期から治療に参加し、周産期チームとして治療成績の向上を図っています。
当院は日本小児外科学会認定施設であり、医学生および研修医の教育、指導を行うとともに、小児医療センター関連各科と連携しより高度で専門的な医療を安全に提供できるよう日夜研鑽しています。
岡山大学病院における「小児医療センター」
小児外科グループ
対象疾患について
当院では小児のあらゆる疾患に対応しておりますが、当科では消化器・呼吸器・泌尿生殖器・体表の外科疾患を主に診療しております。病院のHPもご参照ください。
当院での治療
■低侵襲手術
低侵襲、機能温存に配慮した手術に取り組んでおります。当院では鼠経ヘルニア、噴門形成術、脾臓摘出術など一般的な手術に加え、先天性胆道拡張症、先天性食道閉鎖症、横隔膜ヘルニア、ヒルシュスプルング病、鎖肛などの高難度手術に対しても内視鏡手術を導入しております。ロボット支援下手術にも取り組んでいます。
■新生児疾患
新生児の外科的疾患は緊急性が高く新生児集中治療室(NICU)で管理します。当院では治療難易度の高い複雑な合併疾患を有する新生児が多く、出生前より産科・新生児科をはじめ、複数診療科で方針を決めています。新生児にも内視鏡手術を積極的に行っています。
■小児呼吸器外科疾患
嚢胞性肺疾患などの肺疾患に加え、先天性気管狭窄や軟化症など、他の病院で治療が困難な気道疾患の治療も行っております。県外からの受け入れも行っております。
■小児の胸壁外科
漏斗胸:胸肋挙上術を中心に行っていますが、複雑な胸郭の変形に対しては、胸腔鏡下胸骨挙上術(ナス手術)などを適切に組み合わせて治療を行っています。
■肝胆道系疾患
先天性胆道拡張症:Todani分類の創設者である戸谷拓二先生の頃から、世界をリードする業績を上げています。肝外胆道全切除+肝門部肝管空腸吻合という術式を考案し、術後長期合併症、胆道癌の発生を極力抑えています。近年は腹腔鏡手術を行っています。
胆道閉鎖症: 当院では中四国の幅広い施設から患者を受け入れ、葛西手術で良好な成績をおさめています。肝移植が必要になった場合も臓器移植センターと連携して治療にあたります。
■泌尿器疾患
膀胱尿管逆流症、尿道下裂、水腎症などに対して、保存的治療、内視鏡下手術、マイクロサージェリーなどを行っています。
■小児悪性固形腫瘍
小児の悪性腫瘍は稀少疾患であり、診断・治療には専門的な知識や技術、設備が必要になります。当院では小児腫瘍の化学療法、手術、放射線療法を専門の医師が連携して高度な集学的医療を提供しております。
■重症心身障がい児(者)の患者さんの治療
当科では重心児のQOLの向上のため,胃瘻造設,胃・食道逆流防止術,喉頭気管分離術などの外科的治療を行っています。