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岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 消化器外科学
岡山大学病院 消化管外科 肝・胆・膵外科 小児外科

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CLINIC

臨床 肝・胆・膵外科

ロボット手術から進行がん手術、肝移植まで、
豊富な経験と高度先進技術で、最善の外科治療を患者さんに

岡山大学病院 肝胆膵外科の強み

岡山大学病院 肝胆膵外科は、4名の高度技能専門医がスタッフとして在籍し、年間約140件の肝切除、90件の膵切除、15件の肝移植を手掛け、日本肝胆膵外科学会が定める高難度手術は年間約180件と、中国・四国地方トップクラスの手術実績を持つHigh volume centerです。

岡山大学病院 肝胆膵外科 手術症例数

岡山大学病院 肝胆膵外科 手術症例数

関係診療科と緊密な診療連携を構築し、患者さんに最適で質の高い外科治療を提供しています。また、周術期管理センターと連携して安全で早期の術後回復を目標としています。こうした診療連携・チーム医療により、良好な手術成績とがん治療予後を堅持できていることが、当科の強みです。

当科では、ロボット支援下手術を積極的に行っています。ロボット肝胆膵手術は、2020年の導入以来、これまで360例以上の経験を持つ肝切除・膵切除・胆管拡張症手術の全てが施行可能な国内有数の最先端施設です(http://www.omit-okayama-u.com)。
良性疾患から悪性腫瘍まで、肝・胆道・膵臓・十二指腸腫瘍の半数以上がロボット切除の適応となっており、小さな傷で術後の痛みも少なく早期の退院が可能となっています。

ロボット支援下肝胆膵手術

ロボット支援下肝胆膵手術

肝移植

当科の特徴のもう一つの柱は、30年以上にわたって取り組んできた肝移植です。
内科的治療が不可能な末期肝硬変や急性肝不全に対する最後の救命手段が肝移植です。肝移植の適応疾患は、主にウイルス性肝硬変、非アルコール性脂肪肝炎やアルコール性肝硬変、胆汁うっ滞性肝硬変、急性肝不全(劇症肝炎)、先天性胆道閉鎖症、代謝性肝疾患(Wilson病など)になります。岡山大学では、’96年に第一例目の生体肝移植を施行して以来、’10年には中国・四国地方初となる脳死肝移植、更に’12年には本邦初となる脳死肝腎同時移植手術に成功しました。’24年までの総肝移植数は523例となりました(生体移植459例、脳死移植64例、全国6位)。近年は、腎障害を伴う重症例や再肝移植が増加している中でも、肝移植後1/5年生存率は 88.9/81.3%と全国平均を上回る成績を堅持し、瀕死の状態にあった多くの患者さんが無事に回復され社会復帰しています(https://www.okayama-u.ac.jp/user/hospital/index181.html)。

肝移植件数の推移

肝移植件数の推移

肝移植後レシピエントの長期成績

肝移植後レシピエントの生存成績

また近年の取り組みとして、従来の肝切除では切除困難ながんを肝移植によって根治を目指す取り組みが海外では積極的に導入されており、本邦でも先進医療として、「切除不能な肝門部領域胆管癌/転移性肝癌に対する生体肝移植」が開始されています。当施設は中国地方唯一の実施施設となっています。県内外問わず、国内から幅広く患者さんを受け入れておりますので、いつでも遠慮なくお問い合わせ・ご相談ください。

原発性肝癌、転移性肝癌

原発性肝癌

原発性肝癌は、肝細胞に由来する肝細胞癌と、胆管上皮に由来する肝内胆管癌に分けられます。肝細胞癌では、背景に肝臓を患っていることが多く、肝機能が安全に手術を乗り切れるかどうかを規定します。3Dシミュレーションソフトを駆使し、患者さんの特性と病状に合わせた最適な術式を決定しています。患者さんの状態や肝機能に応じて、肝部分切除から肝区域切除・肝右葉/左葉切除まで、その多くが低侵襲手術で対応可能です。

転移性肝癌

転移性肝癌の中心となる大腸癌肝転移においては、肝切除が最も治療効果が高い治療法です。また、切除後の再発が問題となりますが、外科的再切除が長期生存や根治につながることが立証されており、繰り返し肝切除を行うことで根治を目指しています。重要血管への浸潤や転移個数が10個を越えるような高度進行転移、そして肝臓以外にも遠隔転移がある場合は、手術適応になりにくいとされていますが、当科では切除困難な肝転移を積極的に受け入れ、患者さん個々に最適な薬物療法を効果的に組み合わせることで腫瘍縮小を得て、切除に持ち込んでいます(Conversion surgery)。
これまでは、大きな皮膚切開を伴う開腹手術が主体でしたが、当科では腫瘍個数やがんの場所に応じて低侵襲なロボット肝切除を積極的に行っています。
他にも、門脈・下大静脈腫瘍栓を伴うような高度進行がんなど、他院では切除不能とされるような肝切除症例も積極的に受け入れ、豊富な手術経験と肝移植で培ってきた高度な手術手技を駆使して、手術の可能性を追求しています。

肝腫瘍に対する低侵襲肝臓手術

高難度肝切除 - 尾状葉肝癌 -

大腸癌多発肝転移に対する集中的治療

肝腫瘍に対する低侵襲肝臓手術

膵臓腫瘍

2020年9月に中国・四国地方初となるロボット支援下膵頭十二指腸切除術を導入後、これまで200例以上の症例数を重ねました。最近は膵切除の約70%以上がロボット膵切除の適応となっています。小さな傷で術後の痛みも少なく早期の退院が可能となっています。

良性・低悪性度膵腫瘍

膵切除の適応となる良性・低悪性度膵腫瘍として、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)、粘液性のう胞腫瘍(MCN)、漿液性のう胞腫瘍(SCN)、膵神経内分泌腫瘍などがあります。消化器内科や放射線科と連携して診断、カンファレンスで協議し、疾患や患者さんの状態などから判断し、その多くは低侵襲なロボット膵切除で対応可能です。

膵臓癌

膵臓癌は難治性がんの代表であり、治療において最も重要なことは、化学療法と外科手術を組み合わせた集学的治療を適切に行うことです。術前化学療法を積極的に導入し、腫瘍病勢を抑えた後に根治手術に臨む方針としています。進行度に応じて、根治性を損なわずに低侵襲手術が可能かについても十分にカンファレンスで協議し、手術アプローチを決定します。集学的治療と低侵襲手術の導入により、膵臓癌の治療成績は大きく向上しました。一方、局所進行癌で切除不能と診断されても、化学療法で腫瘍が縮小し、切除が可能となる(Conversion surgery)症例が増えています。血管へ浸潤をともなう進行例でも、肝移植で培った血管再建手技を駆使して安全に手術を遂行しています。

ロボット支援下膵頭十二指腸切除

ロボット支援下膵頭十二指腸切除

 

切除可能膵臓癌に対する集中的治療

切除可能膵臓癌に対する集中的治療

ロボット支援下脾温存膵体尾部切除

ロボット支援下脾温存膵体尾部切除

切除不能膵癌に対するConversion surgery

切除不能膵癌に対するConversion surgery

胆道腫瘍

胆道癌は、肝門部領域胆管癌、胆嚢癌、遠位胆管癌、十二指腸乳頭部癌に分類されます。遠位胆管癌や十二指腸乳頭部癌は、膵頭十二指腸切除を要しますが、進行度に合わせ可能な限り低侵襲性を追求しており、多くの患者さんでロボット支援下膵頭十二指腸切除が可能となっています。また、肝門部領域胆管癌は、大量肝切除を要することが多く癌が広範囲に進展する場合には、肝切除に加え血管合併切除や膵頭十二指腸切除を追加して行うこともあります。消化器内科・放射線科との緊密な連携で術前に精確ながんの進展評価を行い、緻密な手術計画を立て手術に臨んでいます。

肝門部領域胆管癌に対する拡大手術

肝門部領域胆管癌に対する拡大手術

また、膵・胆管合流異常、先天性胆道拡張症に対するロボット支援下総胆管拡張症手術も当科で実施可能です。

最後に

肝胆膵がんは難治性がんが多いことが特徴であり、手術難易度および合併症率が高く、十分な設備と手術経験がある施設での手術が推奨されています。「手術不可能」と診断されても、「手術への道が拓ける」ことがあります。「開腹手術」と言われても、「開腹しない低侵襲手術」が可能かもしれません。進行・再発がんでは、がんゲノム検査を踏まえた最新の薬物療法や放射線治療といった集学的ながん治療で、患者さんに「最も適した効果的な治療」へとつなげます。私たちは、患者さんにとっての最後の砦として「患者さん一人一人に向き合い、最善の外科治療、最後まで諦めない外科治療」をモットーに、強い気持ちを持って診療にあたっています。県内外問わず、国内から幅広く患者さんを受け入れておりますので、いつでも遠慮なくお問い合わせ・ご相談ください。